11/8 子持ちオタク、サークル参加するの巻(碧衣)

調子はどうですか。
立花さんの東京リベンジ、楽しみに待ってます。

というわけでタイトルの通り、生まれて初めてリアル同人誌即売会にサークル参加してきたので、感じたことなどをこの場を借りて記録しておこうと思います。

まず何より強く感じたことは、創作物から受け取ったエネルギーをもとに己の空想妄想を練り上げ形にし、そうして最終的に本の形で世の中に放つという営みを行っている人がこんなにいるんだ!というしみじみとした驚きでした。
もちろん、日頃からpixivやTwitterを見ていればそれは分かることでもあります。けれどもやっぱり、インターネット越しではなく直接人が見える、というのはなかなか強烈な体験でした。
みんなそれぞれに日常生活があって、仕事があって、もしかしたら私のように子供がいる人もいっぱいいるかもしれない。それでも、己の感じたこと、己の発信したいことを本の形で世に出すという、本来趣味にするにはあまりにコストがかかりすぎることを成す人たちがあんなにもいるのです。限られた人生の時間の幾何かを、文字や絵を書き、自分が働いて得たお金で印刷して、もしかしたらたくさん在庫を抱えることまでして。

あの会場の中に私も自分の本を並べて座っていると、不思議なほど勇気が湧いてきました。それはきっと、書店に委託して何冊売れた、という結果だけを見ていたら決して得られない勇気でした。創作のエネルギーの源泉とでも言うのでしょうか。

私は私が書きたいものを書いてよいのだ、という圧倒的な肯定。

何を当たり前のことを、と思いますか。本当に、思えば当たり前のことなのです。けれど、そんな当たり前の事を、もしかしたら私は最近見失ってしまっていたのかもしれません。そうして、昨日のあの会場で再び取り戻したのです。

もちろん、私が作った本を実際に求めてくれる人の顔を直接見ることができた、というのも勇気を得られた大きな一因です。
あえて露悪的な言い方をすれば、私の作った本というのは所詮公式の脛を囓った二次創作で、素人が書き連ねた面白いかどうかも分からない文章です。けれどもそれを、面白いと思ってくれる人がいる。欲しいと思ってくれて、わざわざ私のいるスペースまで来てくれる人がいるのです。そうして、働いたお金の幾何かを私が作った本を購入するために費やしてくれる。
「新刊をください」と昨日初めて直接言われたとき、確かにその言葉から勇気をもらいました。さすがに泣いたりはしませんでしたが、言葉では言い表せないような喜びでした。これもやはり、とらのあなの売り上げ数を見ているだけでは決して理解出来ないことだったでしょう。私が書いたものが、確かに誰かのもとに届いているのです!

思い出しながら書いていたら、なんだかすごくセンチメンタルな文章になってしまって申し訳ない。けれどそれほど嬉しかったので、容赦してくださいね。

安くはない、一般の文庫本なら下手すると二冊くらい買えるお金で、私の本を求めてもらえる。それだけでも身に余る光栄なのですが、なんと差し入れもやらお手紙までたくさんいただいてしまいました。私の作品のファンです、と言ってくださる方までいて、本当にこんな情勢でなければありがとう、と抱きつきたいほどの喜びでした。
いただいた言葉を噛みしめて、いただいた入浴剤でお風呂に入って、いただいたお茶とお菓子をおともにまた文字を書き、そしていただいたアイマスクをして眠り、明日もまた文字を書こうと思います。私が書きたいものを、誰よりもまず私のために、そして読みたいと思ってくれるかもしれない少数の人たちのために。
本当に、本当にサークル参加をして良かったです。子供のことを考えると、きっとそう度々は参加できないでしょう。けれどもまたいつか、あのエネルギーに満ちた空間に、また自分の本をもって参加できれば嬉しいです。